2016/9/15号


 (2016/9/15)

*このメールはHTML形式です。うまく表示されない場合には、以下のURLからでも読むことができます。
http://s1.iec.u-tokai.ac.jp/modules/tinyd9/index.php?id=5


はじめに

間もなく新しいセメスターが始まりますね。皆さん夏休みはいかがでしたか。
東海大学の「国際教育センター」(通称・国セン)からのメルマガ(国セン発メール便)第4弾をお届けします。今月も外国語学習や留学などに役に立つ情報をお届けします。


もくじ

(1)リレートーク
 「笑顔の発火点」
  加藤好崇

(2)【連載】リスニングをつけるには(1)英語が「聞き取れる」ということ
 吉成 雄一郎

(3)キムチ物語
 チョ・ヒチョル

(4)編集後記

(1)リレートーク
「笑顔の発火点」
加藤好崇

 「とっても大好き、ドラえーもん♪」。外ではドラえもんのテーマ曲が盛大に鳴り響いています。曲に合わせて女性がマイクで大声で話すと、今度は大勢の若者が大声で返します。しかし、何を言っているのかさっぱりわかりません。

 ここは、バンコクから飛行機で約1時間ほど北へ行ったウッタラディットというタイの街です。近くにはスコータイなどの世界遺産があり、少し車で行くと水田に水牛といった風景も見られる地方都市です。

 現在この街の大学に併設されたホテルの一室でこの原稿を書いています。この大学では新入生歓迎のお祭りが盛大に繰り広げられていて、私の部屋の隣にある体育館では、昨日の早朝6時から大騒ぎが始まりました。この大騒ぎが続いているので、学生も大変でしょうが、寝られない私はもっと大変です。

 私にとっては約15年ぶりのタイ。ことばも分からず、生活習慣も異なる地、しかも田舎での私の異文化コミュニケーションはどうでしょうか? もちろん現地の大学スタッフが始終面倒を見てくれるので困ることはないのですが、そうはいってもやはり一人で歩いたり買い物をしたりといった多少のチャレンジはしたいもの。これが海外旅行の醍醐味ではありますが、同時に緊張もします。写真をとって嫌な顔をされないかとか、何を食べたらいいのかとか。

 こんな時、異邦人がとっさに使える手段はやはり「笑顔」。これがなかなか通じない国もありますが、何と言ってもここは「微笑みの国タイ」。「ニコッ」とすれば、すかさず「ニコッ」と返してくれます。そしてこちらももう一度「ニコッ」。私の笑顔の発火点も低くなります。こんなにニコニコ日本ではできません。

 タイに来たのだから少しでもタイ語を使おうと、わずかに知っているタイ語で必死に話をしていると自然に顔もこわばってきますが、こうなると相手も顔がこわばってきます。こんな時、「笑顔、笑顔」と自分に言い聞かせながら、必死に話していると相手もニコニコしながら助けてくれます。たとえうまく目的を達成できなくても嫌な思い出にはなりません。笑顔の効果を再認識する毎日です。

 笑顔の発火点を低くさせる国、タイ。タスク達成はできなくても、なんとなく穏やかになるための異文化コミュニケーションのエッセンスは笑顔ということでしょうか。

 部屋の外では今度はラップ調のタイ語の音楽が流れ、その後全員で太鼓に合わせて大合唱! 睡眠不足でも明日も笑顔を忘れないように!

 次回のリレー・トークはドイツ語担当の佐原雅通先生です。お楽しみに。


現地の大学教員の家族と一緒に。


顔にペイントをしている新入生

プロフィール
(かとう・よしたか)
モナシュ大学大学院日本研究科修士課程修了、早稲田大学大学院日本語教育研究科博士課程修了。現在、東海大学国際教育センター教授。オーストラリア、ロシア、中国などでも日本語教育に従事。単著「異文化接触場面のインターアクション―日本語母語話者と日本語非母語話者のインターアクション規範」(東海大学出版会)、共著「日本語・日本語教育の研究-その今、その歴史」(スリーエーネットワーク)など。

 (2)【連載】リスニングをつけるには(1)
「英語が「聞き取れる」ということ」
吉成 雄一郎

 TOEICなどの資格試験にしても、また英語、その他の外国語の学習においても、リスニング(聞き取り)力をつけたいと思う人は多いはずです。今回は、まず言葉が聞き取れるというのはどのようなことなのかを考えてみましょう。

 私事になりますが、筆者は中学三年生の時に大分県から上京しました。当初、私は山手線のアナウンス、「次はタンダー、タンダー(?)です」がどうしても聞き取れませんでした。早口で、少々不明瞭な発音に思わざるを得ませんでした。が、周囲の人たちは困っている様子はまったくありません。私はもちろん日本語が母語であり、アナウンスをしている車掌さんもそうであるに違いありません。日本語が母語なのに、日本語の「リスニング」に苦労したのです。とはいえ、数週間も経たないうちに、私も聞き取れるようになりました。駅名を路線図で知り、またおよその順番も覚えたからです。どうしても聞き取れなかった「次は五反田です」というアナウンスもはっきりと「理解」できるようになりました。

 聞いて理解するという時、2つのプロセスが働いていると考えられています。一つはトップダウン・プロセスで、もう一つはボトムアップ・プロセスと呼ばれるものです。トップダウン・プロセスは、内容をまず大まかにとらえて理解しようとする思考のプロセスで、音が脱落していることや騒音でかき消されている語などいわば細かい点はあまり気にせず、背景知識や常識、経験などを無意識のうちに総動員して「理解」しようとする思考プロセスといえます。大きく全体を理解して、次第に細かい理解へと下げていく動きです。

 ボトムアップ・プロセスは逆に、細かいデータを頭の中で収集し、お互いを結びつけながら理解しようとするプロセスで、「音」や「単語」レベル、「文」のレベル…と小さな単位から次第に大きな単位と解釈していくものです。私は、上京した当初は山手線の駅名について知識がなかったので、「音」だけを頼りに聞き取ろうとしていました。いわばボトムアップ処理をしていたわけです。その後駅名を知り、次はどの駅かが何となくわかるようになると、トップダウン処理も行われ、スムーズなリスニングできるようになったということですね。

 英語の学習においては、トップダウン・プロセスとボトムアップ・プロセスの両面から練習するとよいと思います。具体的な話は次回のメルマガでしたいと思います。

プロフィール
(よしなり・ゆういちろう)
国際教育センター英語教育部門教授。大分県出身。コロンビア大学・ティーチャーズカレッジ(MA)修了。信州大学大学院総合工学系研究科博士後期課程単位取得退学。英語の学習書、記事を多数執筆。最近ではICTを使った教材やプラットフォームを開発している。

 

 (3)キムチ物語

 チョ・ヒチョル


 1980年代、日本の国際交流基金のお招きで世界の多くの国々の日本語教員が東京に集まり、研修を受けましたが、泊まるところは新宿南口のあるビジネスホテルでした。

 韓国から来た教員の多くは到着したその日から、一食たりともキムチなしでは生きていけないとばかりに新宿にある韓国料理屋を見つけ、頻繁に出入りしていました。私もそこまでではなかったのですが、3,4日くらい経つと禁断症状を覚えました。

 今は日本のどこのスーパーでも居酒屋でもキムチに接することができますが、二、三十年前まで、キムチにありつけることは簡単ではありませんでした。

 数年前、タモリの「笑っていいとも」という番組で行われた「日本人の一番好きな鍋料理は?」というアンケートの一位は、20代から60代までいずれもがキムチ鍋でした。これは薄口の料理が好まれる日本の食文化ならではの現象で、日本人の素直さを物語るものではないかと思います。

 他方、韓国の場合、一種中毒性のある刺激的なキムチに慣れているため、韓国人はなかなか外国料理になじめず、ある文化人類学者は「韓国の食卓からキムチを追い出そう」という過激な発言をされたこともありました。

 さて、韓国では、初冬から冬の間ずっと食べられるキムチを家族総出で大量に漬け込む「キムジャン」という風習がありますが、これは冬の風物詩になっており、2013年、「キムチとキムジャン文化」という名前でユネスコ無形文化遺産として登録されました。

 皆さんもぜひキムチとともに韓国文化を楽しんでみてください。

プロフィール
(ちょ・ひちょる)
東海大学国際教育センター国際言語教育部門・主任・教授。テグ生まれ。啓明大学日本語科卒業、韓国外国語大学通訳大学院修士課程修了、中央大学大学院博士後期課程修了。韓国蔚山大学を経て、現職。2008年度「NHKまいにちハングル講座(入門編)」、2009年度〜2010年度「NHKテレビでハングル講座」、2010年度「NHKアンコールまいにちハングル講座」講師。

近年の編著・著書

『おっかけハングル』(宝島社2016年7月)、『韓国語と日本語』(朝倉書店2014年9月)、『マンガでわかる!1時間でハングルが読めるようになる本』(学研パブリッシング2014年5月)、『韓国語の活用がたった3パターンでわかる本 : ヒチョル式超シンプル活用法講義』(学研2013年12月)、『見て!聞いて!書いて!韓国語単語1400』(白帝社2013年9月)、『旅行に役立つ!すぐに使える韓国語フレーズBOOK』(ナツメ社2013年8月)


(4)国セン情報


本学の学生なら誰でも英語学習がPCやスマホでできる!―「東海大学リンガポルタ」

東海大学「リンガポルタ」はご存じですか?本学独自のeラーニングです。パソコンやスマホで、いつでもどこでも英語の学習ができます。

現在、用意されているコンテンツは、英語必修科目Reading & Writing 1および2およびRead to Writeに準拠した単語学習、それにTOEICのスコアアップに役立つ「単語力パワーアップ」です。

アクセス方法

http://tokai.linguaporta.jp

ID: (学生証番号)
Password: (生年月日8桁)


外部で受けた外国語の検定・資格のスコアシートや証書の写メを募集!

 外部で受けた外国語の検定・試験等の結果を募集します。スコアシートや証書の文字が鮮明に読めるように写メで撮影して、ir@iec.u-tokai.ac.jp宛てに送ってください。学生証番号と氏名を必ず明記してください。皆さんの結果は本センターで記録し、教育活動の貴重な参考資料とします。また、級やスコアにより、表彰することを検討中です。


(5)編集後記

 夏休みの終わりと新セメスターの始まりが見えてきた頃、東京の街が「World's Best Places to Visit」で第5位に選ばれたということを知りました。グレートバリアリーフやボラボラのような、自然の美しい楽園を除くと、フランスの都パリとイタリア中部のフィレンツェに続く第3位となります(http://travel.usnews.com/Rankings/Worlds_Best_Vacations/)。

 米国人からすると、そんなに魅力的な街が私たちのそばにあるといいます。このことを、どのくらいの人が理解できるでしょうか。件のサイトを見ると、パリはmagnetic City of Lightで、フィレンツェはhistoric cityだといいます。では、東京はというと、bustling, tech-centric cityだというのです。

 歴史を通して人の文化が自然と織りなす景観は観光客を招き寄せます。ロシアのサイトでも京都の金閣寺、ひたちなか市の国立公園、京都の花咲く桜の下などは、「命ある間に訪れる価値のある場所」「見てから死ぬべき場所」として紹介されています。ただ、人を惹きつけるのはそれだけでありません。今を生きる人々が醸し出す街の活気もまた、人を惹きつけるようです。

 もちろん、東京にあるのは活気だけではありません。いつもの満員電車に揺られて、ちょっとうんざりと思っている人も、加藤先生やチョ先生のお書きになったように、異文化の中に身を置く体験が大切ではないでしょうか。いつもと違う視座からふるさとを振り返ってみたなら、また何か違う、ひょっとすると、その良ささえ見えてくるのかもしれません。(K.K.)

国セン発メール便、次回の配信は10月31日を予定しています。


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発行:東海大学 国際教育センター
http://www.iec.u-tokai.ac.jp/

メルマガ編集チーム
 アルモーメン アブドーラ(国際教育部門・常任広報委員)
 高橋 強(英語教育部門・広報委員)
 近藤 喜重郎(国際言語教育部門・広報委員)
 吉成 雄一郎(英語教育部門・国センIR委員)
 





サイト名: International Education Center   http://s1.iec.u-tokai.ac.jp
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